ポンプ式空気銃の空気圧問題について

現在なお初年度ボウズのmorimoriです・・・
ところで「エースハンター」のようなポンプ式空気銃をお使いの方に、猟期に入って気がついたことがありますので報告します。

まず今年の7月に、ポンプ回数変えながら、笠取射撃場で射撃実験行っています。

実は9月に医王山スポーツセンターで射撃練習していて、記事にはしてませんが、ポンプ5回の射撃実験を行ってます。
この2回の実験で、私のエースハンターは、弾道計算ソフトの計算上ほぼ同じ結果が出たので、桔梗屋さんのブログと同じ威力であるって結論付けました。

いわゆる、ポンプ8回で「731.0FPS」「18.9FP」ってことです。


で、ですね、猟期始まって猟場で「試し撃ち」できないことくらい私だって知ってます。
ただですね、エースハンターの場合、ペレットの装填は銃身内のライフリングに食い込ませるように「グイっと」押し込んでやるんです。そのため、一度装填してしまうと、脱包するには「捨て撃ち」しか脱包方法ありません。

で、猟期前に黒猫さんから使わなくなった弾速計をいただきまして、そのせつはありがとうございます。
それでですね、一度装填してしまった場合、エースハンターは捨て撃ちしか脱包方法がありませんので、それを利用して捨て撃ち時に弾速計で弾速を測ることが、まあ合法的にできます。

それで今までに3回捨て撃ちすることがあり、その3回とも弾速計で計ったのでその計測結果報告します。

1回目:「705 fts」
2回目:「620 fts」
3回目:「700 fts」

はあ??!!
730ftsには程遠い数値というか、2回目の620ftsってなんじゃ?!
620ftsって言ったら、ポンプ5回程度の圧力だぞ!!

さてようやく最近になって、冷静に捨て撃ちするまでの状況を思い出してみたら、
「圧力バラつき現象」について思い当たることが出てきたので、報告します。




1回目の捨て撃ちは猟期スタート日の話です。
昼まで仕事して、その後自宅で支部長の監査、そして雑談。
支部長が帰られた後、バタバタと準備して、エースハンターを「自宅にて」8回ポンプ。その後出猟し、捨て撃ちしたのはポンプ後およそ2時間後くらい。
1回目:「705 fts」
私はこの低い圧力の原因は、温かい室内にてポンピングした結果だと、その時は理解しました。


で、2回目・3回目の捨て撃ちは、2回目の出猟時。
この時のポンピングは室内で行わず、でも日の出前とはいえ住宅街で人目もあるので、自宅横の物置内で行いました。つまり前回よりは冷たい空気を圧縮したことになります。
2回目の捨て撃ちはポンプ後およそ4時間後。
2回目:「620 fts」
この数字の低さは衝撃でした!


で、3回目は猟場でポンピングして、15分後くらいに捨て撃ち。
3回目:「700 fts」
1回目とあまり変わらない数字なので、圧縮する空気の温度が圧力低下の原因ではないことがわかります。


さて、私はこの原因を調べるために、圧力と温度に関することをいろいろ調べてみました。そしたらまあ「ボイル・シャルルの法則」とか、高校物理の公式とか、まあいろいろ出てきて、正直大混乱しました!!
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でまあ、詳しい公式も計算途中の話もなしで、その計算が合っているかどうかも分からないまま、私が導き出した答えだけ書きます。
30度の気温の中で1気圧の空気を100気圧まで圧縮した場合、その空気温度は「856.8度」になります!
あっはっは!アルミニウムが溶ける温度を軽く超えますが、実際には例えば銃の蓄圧シリンダーには熱伝導率の良い鉄なんかが使われてますから、800度を超える熱は一瞬にして拡散していくのでしょうね。
エースハンターの蓄圧シリンダーは銃外部から触ることができない内部にあるのでわからないのですが、PCP式空気銃の場合、充填したての場合、かなりの熱もつらしいですね。

問題はこの「熱」ってやつです。
PCP式空気銃の場合、前の晩に空気を充填して、暖房の無い部屋にガンロッカーに一晩入れて、次の日に銃を持ちだそうとすると、えらいこと空気圧が下がっていて「空気漏れてる!故障か!」って銃砲店に電話するハンターがいるらしいです。
物理的な公式引きずりだして「圧縮率」や「温度変化」等を計算しようとするから、なんか難しくなります。
もっと簡単に単純に考えて、
「空気は温まると膨らみ、冷めると縮まる」
ってことです。
さっきのPCP式の話の場合、充填された「空気量」は変化ないです。でも充填仕立ては熱もってその熱自体で圧縮空気がそれ以上に膨らみます。
それで猟に出かける日の出前ってのは、室内でも暖房ついてないと一番寒い時です。前の晩との違いは「空気量による圧力」ではなく、「温度による膨張」が低くなった状態ってわけです。
逆に言うと、PCP式空気銃の場合、銃自体に圧力計ついてますから、猟場の温度になれた状態での圧力が一定すれば、温度による圧力問題は解決されます。


さて問題は、エースハンターのような「ポンプ式空気銃」です。
先ほど1気圧を100気圧まで圧縮すると800度以上になるって書きました。
つまり、圧縮する空気温、ポンピング作業を室内でやっても、室外でやっても、たかが数十度の差など関係ないくらい高温になるってことです。
それは先ほどの私の実験で、捨て撃ち1回目と3回目の圧力がほぼ同じだったことから証明できます。

問題は2回目の圧力ですね。圧縮してから4時間後。この日は日の出前から出猟して、ため池を14か所も回りました。車で休憩時以外は銃を背負ってましたし、何度もが降るほどの気温でした。
圧縮空気が銃ごと外部気温まで冷やされた状態と考えていいでしょう。
ポンプ8回のエースハンターが外部気温に十分に冷やされる状態まで時間が経つと、ポンプ5回の威力にまで落ちるということです。

もう1度、桔梗屋さんのブログの数値で説明すると、

夏場はポンプ8回は730fpsくらい威力あっても、冬場のポンプ8回は700fpsくらいの夏場ポンプ7回と同じくらいの威力。
そしてポンプ後十分に冷やされると、620fpsと夏場ポンプ5回と同じくらいの威力まで落ちるということです。

笠取射撃場で実験しましたが、ポンプ8回で50mゼロインしている場合、ポンプ5回ってのは30mゼロインと実質同じで、40mになると約5cmほどドロップします。

つまり冬場50m先のカモをエースハンターで狙うとき、夏場ポンプ8回でゼロイン調整バッチシ!だからといってレチクル中心で狙った時、ポンプしてからかなり時間が過ぎてしまった場合はポンプ5回の空気圧となり、はるか手前で弾丸が失速してしまう可能性が十分にあるということです。

夏場における連続ポンプ時の圧は730fpsかもしれませんが、冬場は銃身の冷えから圧力熱の拡散が大きくポンプ7回程度の700fpsにまで落ちるのかもしれません。
まだいまだに猟場に雪がなく氷点下という経験がないので、もっともっと今後は空気圧が落ちる可能性があります。

やっぱりプレチャージ式とポンプ式空気銃では、例え原動力が同じ空気圧であったとしても、まるで別の銃であるって認識でないと難しいかもしれませんね。
つまり、50mゼロインの精密さと繊細さをポンプ式銃に求めてはいけないのかもしれません。
その代わりポンプ式銃は、初心者導入の金額の手軽さと、圧縮空気ボンベ等の維持系の金額、それとオーバーホール等の繊細な作りでないためのコンディションの安定性。
金銭的メリットは、猟場においてデメリットへ変化し、猟期が終わったら今度はデメリットがメリットに変わる。
それでも、私の相棒はこのエースハンターと決めているので、例え初年度猟期まるまるボウズになろうと、この相棒と過ごすことにします。


P.S.ああそうかあ・・・この記事書きながら思いつきましたが、夏場8回ポンプの状態を冬場のエースハンターで求めるなら、まず9回ポンプし、1時間に1回ポンプし直すと、夏場8回状態を維持できるかもしれませんね。






この記事へのコメント

  • 黒猫

    確かどこかの銃砲店のウェブサイトに、PCPでの逆バージョンがあったような。寒いところで空気充填して、熱いところに放置したらエアシリンダーが破損とか。

    経時的温度変化で弾速が変わってしまうなら、寒い屋外で8回ポンプしてすぐに撃つのと、暖かい射場で8回ポンプしてすぐに撃つ場合なら、近い値になるのでしょうか。

    でも獲物を見つけてからポンピングしていたら、逃げられてしまいますね。。。
    2017年12月01日 11:34
  • morimori

    PCP式とエースハンターの一番の問題点は、圧力変化ではなく、銃自体の圧力計の有無ですね。
    いわゆる、銃自体に圧力計さえあれば、季節や温度を問わず、銃自体のおいしい圧力を保てば、弾道は一応安定します。
    しかしエースハンターの難しさは、ポンプ回数と気温と時間で、圧力だけでなくゼロイン距離すら変わるということです。
    エースハンターが30m前後の獲物に対する銃だということが、何となく実感してきました。
    50m前後のカモって、スコープの中に入れたことないけど、どこ狙って撃っていいのか、わからなくなってきました。
    まあ何事も実践あるのみって感じですかね。
    2017年12月01日 20:17