イノシシの胃袋を料理してみた

いわゆる「ガツ」ってやつです。しかしまあ、自ら希望してもらった部位なんですが、
これほどまでに激しく後悔したことはありませんでした。
まずパンパン膨れ上がった胃袋切り裂く勇気・・・。
中に何が詰まっているのかわからない、雑食性のイノシシの胃袋を切り裂く勇気・・・。
バラエティー番組で、バンジージャンプを飛ぶのに、何十分って躊躇している芸人さんたちの気持ちがすごく良くわかりましたよ!!
小一時間ほどの葛藤の後で、バンジー!!
出てきた内容物から、こみ上げるゲロ臭・・・。
おえ~~~~~~~~~!!!!
洗っても洗っても、消えることのない獣臭ゲロ臭・・・。

「狩猟生活Vol.4」「胃腸は小麦粉で洗うと真っ白なモツになる」って書かれていたので、もちろん実践しましたが、
汚れなんか落ちるか!ハゲ!!
って感じで、心が折れたので、まあ見た目きれいな部分を3分の1だけ切り取り、ジップロックに牛乳漬けにして冷凍保存し、その日の作業を終えることにしました。
写真なんか1枚も残してませんよ、いろんな意味で心に余裕が1ミリもありませんでしたから。

はい!いつもながら前フリ長いです!
っていうか、この先多少グロい
生イノシシの生胃袋画像とか出てきますので、そういうの苦手な方は、ここで退散してくださいね。




まず、全力投球でゴミ箱行きにしたい
先日処理した牛乳漬けの胃袋を取り出します。
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で、それを流水で強制解凍
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胃の内側です・・・。
ずいぶん頑張ったけど、汚いなあ・・・。
それに魚の目みたいに見えるのは、多分胃潰瘍の痕です。
ああ!やだやだ!
まあとりあえず茹でてみます。
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面白いぐらい、灰汁が出ます(笑)
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1回目茹でたあとです。きれいに見えますが、こっちは胃の外側です。
まだいろんな匂いが消えません。
細かく切って、表面積を増やして茹でこぼす作戦に出ます。
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胃って内側と外側で二層になっているんですね。
で、一度茹でると、汚い内側を剥ぐことができることに気がつきました。
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汚い部分を剥ぎながら、細かく刻んでいきました。
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感触的にはガッチガチのゴムです。
まあ当たり前ですね、強酸の胃酸を包む特殊筋肉袋ですからね。
狩猟生活Vol.4にも「やわらかくするために、酢につけて一晩おいて・・・」って書かれていたので、まあ強烈な固さの部位であることは想像つきます。
でも、私はそんなに気が長くないし「酢漬け」も苦手なんです。
で、次の工程にうつるときに「酸っぱい胃酸の中和」「灰汁抜き」ってキーワードで思いついたのが、
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はい!重曹です!
結構な量の重曹で煮こぼす作戦です!
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ものすごい量の泡ですが、これが全て二酸化炭素なら、胃酸と重曹の化学反応ですね。
あっはっは!炭酸水で湯がいているようなもんです。
それに黒いゴミも浮かび始めて、鍋のこびりつきも落ち始めました。
すげえ!重曹!さすが重曹!

で、5分くらい湯がいて、洗い始めました。
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数度水を変えなければならないほど汚れが出ます・・・本当に食えるのかこれ?!
それでもグリグリ洗っていると、汚れが多少おさまってきて、改めて感じたのが、
触っている感じが?!ずいぶん柔らかい!
このまま食べてみると、こんにゃく程度の柔らかさにまでなっていて、臭みも一切ありません!
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重曹すげえ!
これなら食える!!

さて、味付けなんですが、当初「ホウレンソウのおひたし」と同じようにしました。
かつお節:できるだけ
しょう油:手加減しながら
麺つゆ :少々
で、食べてみて、なんか物足りなかったので、方向転換しました。
一味唐辛子:思い切って
しょう油 :手加減しながら思い切って
で、出来上がったのがこちら。
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ゆずの皮みたいに見えるオレンジ色の物体はかつお節です。
味付けした後、味を落ち着させるため、小一時間ほど冷蔵庫に入れました。
そしたらですね、ふにゃにゃの食感が、温度が下がるとコリコリ感が戻ってきました。
いわゆる本当に美味しい「ガツ刺し」になりました。
いやあ!初めて扱ったジビエ内臓料理として「完全勝利!」を収めることができました!
本当に美味しかった!胃袋処理に重曹茹でこぼしはお勧めです!

ただ、さばく時点から大変な部位でした。
何度も何度も、生ごみとして捨ててしまおうか?!って気持ちとの格闘でした。
それに胃袋に旨味はありません、単純にコリコリとした食感を楽しむ部位です。
そんな「珍味」扱いの、処理は大変な部位の、その他もろもろの「胃袋」を、次の機会があれば持ち帰るかっていうと・・・。
う~~~~~~~~~~ん・・・。
いやあ!!難しいかもなあ!!!


P.S.いくら筋肉質の部分とはいえ、次の日のほうが味がしみ込んで美味しくなりました。






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