イノシシ赤身肉を保温調理してみた

先日、イノシシ肉をさばいた記事を書きました。


その際にですね、わざと塊肉を用意したと。
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右側の5つがそれです。左側の大多数が、焼き肉要員です。

まず上記の肉を全て塩麹と混ぜました。部位が後ろ足と言えど、下のほうのすね肉メインだったので、例えスジを掃除したとしても、肉質自体の固さはあると考えての処理でした。
午前中に混ぜて、午後に調理し始めたので、6時間ほど塩麹に漬けこみました。


さて、メインの塊肉を料理していきます。
料理の方向的には、カモの胸肉と同じ、強めに塩して中心温度を上げるだけの火入れで、できる限りレアを目指します。

まずは塊肉の塩麹をキッチンペーパーで拭き取ります。
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この肉に、全面に塩をして、オリーブオイルで焼いていきます。
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強火で焼きましたが、表面を焼き切り肉汁を閉じ込めて・・・なんて考えていません。なぜなら、肉汁なんて閉じ込められませんから。
感覚的に、表面を焼くというよりは、全表面温度を上げる感じでした。

ティファールフライパンから、ティファール鍋に変えます。
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見てお判りのように、表面を固めるどころか、まだ赤身が残っている部分すらあります。
まあとりあえずこれで良いでしょう。表面がどうであれ、中心温度が十分に上がりさえすれば、安全に食べることができます。

で、肉表面にアルミホイルを保温的にかぶせて、IHクッキングヒーターを最小限の火加減にして、とりあえずキッチンタイマーで20分放置する作戦に出ました。
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って、言いながらも、5分ほど経ったときに、なんとなく鍋を素手で触ったら、けっこうな熱さがあったんですね。
で、一度保温状態にしました。
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でもなんか気になって、その後肉の状態を見てみました。
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ああ、やっぱり赤身が残っている。火入れが足りない。

ここら辺りから、自分で気がついたのですが、温度を見るのに私、鍋やアルミホイルや肉を直接手で触って確かめているんですね。
感覚的に、かぶせてあったアルミホイルの温度が、手の甲を当てて温かいって感じる程度、多分お風呂程度の温度です。
肉自身に触っても、ぬるい感じでぶよぶよ。火入れはまだまだって感じです。

20分で始めたキッチンタイマーですが、気がついたら残り12分。
初心貫徹って意味も含めて、肉を裏返してアルミホイルをかけ直し、残り時間は完全放置としました。
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タイマーが鳴った後、アルミホイル越しから肉の感じを確かめました。
アルミホイルはちゃんと熱く、塊肉もちゃんと固い感じでした。
やっぱり、手で触るのが一番の経験で、一番わかりやすい感覚かもしれませんね。
火入れは十分と判断し、余熱も含めてこのまま放置としました。

で、十分アルミホイルが冷めた状態でスライスしたのがこれ。
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いやあ!旨かった!!
酸味の効いたバルサミコソースと一緒だったら、ビストロクラスの絶品料理になっていたでしょう!


まあ正直、最初切り始めたときは、赤身の少なさに「火を入れ過ぎたか・・・。」って思いましたが、これはイノシシ肉であることを考えると、一か八かで食べる料理じゃなく、ちゃんと安全な料理として成り立つ料理だということを、自分で理解しました。

もう1つ、今回この塊肉の条件は、
「スジ的な白い部分が一切ない塊肉であること」
で、1㎏弱くらいあった後ろ足の下の部分から、この程度の赤身の塊肉しか取れませんでした。
それでも筋張った部分の多かった肉から、これほど見事な赤身だけを切り分けた自分に、
自画自賛!


あと、塊肉の温度調整のやり方も、今回は良い経験となりました。
やっぱり塊肉の火入れは「手触り」で確かめる方法が確実です!

温度でいうと、伝導率の高いアルミホイルを長時間触れるというなら、肉の上部の温度は50度にも達してないと予想できます。それとちゃんと60℃を越える温度となっていても、熱いけど一瞬で火傷するほどではないです。

肉自体の手触り感で言うと、生の状態のぷよぷよ感。これがスタート。
ちょっとつついてみて、ぷよって感覚があれば、中はまだまだ生ってこと。
保温的で低温であっても、ちゃんと火が通れば、ちゃんと角が立つようなしっかりとした固さになります。


もう、カモの胸肉とか、鹿の背ロースとか、生っぽくてもちゃんと火を通すような料理全般に、自信がついたような気がします。

いやあ!本当に良い経験ができました!




ちなみに、他の焼き肉部位は、普通にフライパンで焼きました。
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どうしても塩麹に漬けた分、焼いているうちに水分が出るのですが、その都度キッチンペーパーで拭き取り、煮るのではなく最後まで焼くのがポイントです。
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この肉も、食べればいつもの獣臭が少々するのですが、塩麹のせいか固いと感じることはなく、スジを取ったおかげで噛み切れない何かを感じる肉でもなくなりました。

なんていうんでしょうか、このイノシシ焼き肉は一般的豚肉料理に混ぜても、全く遜色ない食材になりました。

改めて、筋膜やスジ等の「掃除」って本当に大切なんだなあ・・・って感じました。
いわゆる、精肉業者の一手間が、これほどまでに食べやすさに大切だということを知りました。

今までは、それらの差を「家畜肉」と「野生肉」だからという言い訳をしてました。


いやあ!イノシシのストックがなくなってしまって本当に残念です。




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