ガスバーナー料理研究家のmorimoriです。
調子に乗ってオリジナルバーナーまで作っちゃいました
さて、前回は鶏肉を炙りましたので、今回は豚肉です。
それもミディアムレアに仕上げます。
豚肉でこれほどの赤身は危険に思えるかもしれませんが、安全面はクリアしてます。
安全面がクリアということは、この料理はイノシシのヒレ肉やしんたまのような、脂身が少ない部位でも応用できます。
まずは豚ヒレ肉の塊をご用意ください。
バラ肉と違って、脂身が無いのが特徴です。脂身が無い方が低温調理に向いてます。
調理1時間前には冷蔵庫から出しておきます。調理直前に十分な塩と十分なグリルマスターを肉全面にかけます。
それを両手で少し握るような感じでなじませていきます。
写真では左手を添えているだけに見えますが、写真を撮るために両手が使えなかっただけです。実際には両手使って手のひらの熱で塩とグリルマスターを肉に溶かし込んでいく感じです。
これ本当に使いやすいのでお勧めです!他の肉系のスパイスだと、かなり塩分が入っていて、それ単独で味付けが完了してしまうタイプが多いんですが、これは塩分が少ないので、いつも通りの塩コショウの最後に一振りする感じで使えます。
下味付けた肉を中火で焼いていきます。
ここでの火入れのイメージは、
「肉全体の温度量を上げる」
ことです。
最後にアルミホイルで包み余熱で中心部まで火を通します。
その中心部までの熱源は、この中火です。そんなイメージです。
そのため、表面的に多少赤身が残っても気にしません。それよりも肉を触った時に、十分な熱量が蓄えられていることを確かめます。
チョット押してみて表面は固く、奥はブヨッとしていて、「アチッ!」ってなるくらい熱量が蓄えられていれば十分です。
焼きあがったら、次は炙りの工程に入ります。
私は使わなくなったタジン鍋を、最近炙り用の皿に使ってます。
あとはまんべんなくガスバーナーで炙っていきます。
で、炙りが完了です。
炙りのイメージは、
「香ばしさを出して肉汁を閉じ込める」
です。
「香ばしさ」は唯一ガスバーナーならでの料理方法です。肉の向きを変えながら徹底的に行いましょう。
まあ徹底的と言っても、ガスバーナーの火力はあまりにも強いので、表面だけが次々焦げても、中心部位にまで熱量は到達しないと考えたほうが良いと思います。
それでも表面的には全体的に十分な熱量があり、全面に焦げ目をつけることで肉汁を閉じ込める助けになります。
さて話を少し変えますが、前回の手羽元炙りの時はタジン鍋を使わず、フライパンで炒めた手羽元を直接バーナーで炙りました。
その違いについて説明すると、実はテフロン加工のフライパンは高温に非常に弱いので、ガスバーナーとの相性は非常に悪いです。
今回はヒレ肉1つだったために、フライパンのまま炙るのはテフロンのダメージが強いと判断し、タジン鍋に移して炙りました。
しかし前回は大量の手羽元だったために、フライパン表面にまでバーナーの熱が届かないと判断して、フライパンに入れたまま炙りました。
あと、炙り用の皿は、耐熱皿でも瀬戸物の皿でも何でもいいですが、非常に高温になった時を想定して選んだほうが無難です。
実際に肉表面にしかバーナーの火を当てていない感じで炙っていたのですが、炙りの後半になると、肉の向きを変えるたびにジュウウウって焼ける音がし始めました。つまりタジン鍋自体がフライパン並みに熱量を持ったということです。
もちろんタジン鍋の下にはコルクの鍋敷き敷いてます。一応まだ焦げてません。
さて、炙りが完了したら、すぐにアルミホイルで包みます。
包み終えたら、先ほどの鍋に戻して、2分ほどごく弱火にして火入れ終了。
火を止めて蓋して、保温時間を20分と読みました。
さて、保温のイメージは
「中心部まで熱を通して温度を下げる」
です。
2分弱火にしたのは、アルミホイルで包んでいるさいに失われた熱量を補うイメージです。
実は同じ料理手順で鳥の胸肉なら、アルミホイルでくるんだらコルク鍋敷きの上で放置するでしょう。なぜなら鳥の胸肉の火の通りやすさと厚さなら、包んでる時点で多少熱量落ちても、十分に中心部まで火が入るイメージがあるからです。
さっきから、イメージって言葉を多用していますが、当たり前です、塊肉の火入れは切ってみるまで答えが出ませんので。
でもヒントはあります。肉を直接押し触ってみることです。
最初に塩を揉みこむときに生肉の感触を確かめました。
次にフライパンで火を通した状態の感触も確かめました。
そして炙り終わった状態の感触も確かめました。
で、最後に保温状態の肉の仕上がりは、今までにないような抵抗感でみるわけです。
最終目標はミディアムレアです。
押した感覚がガッチガチに固い場合は完全に中心部まで火が入っている状態です。その何歩か手前を目指すわけです。押したときの抵抗感の最終イメージもそんな感じでイメージするわけです。
次に「温度を下げる」って話なのですが、肉料理の場合、特に家庭における焼き肉の場合、焼き肉を冷ますって視点がほぼないでしょう。
例えばですね、よくTVで見る、ハンバーグを切った断面から、
「肉汁じゅばああ!」
ってのはいろんな意味で、
間違ってます!
あれは動画を含めたTVサイドの撮りたい映像ですね。
なぜなら簡単に言うと、肉汁じゅばああは、旨味汁をハンバーグから垂れ流しているような状態です。
逆に言うと旨味を完全に閉じ込めたハンバーグってのは、切っても肉汁0ってのが理想中の理想です。
これは理屈的にわかってもらえると思います。
なぜハンバーグのタネにパン粉や寒天を入れるレシピが多いのか?って答えになるんですが、肉汁をハンバーグ内にとどめておくような食材を入れたほうが、ハンバーグ自体の味が美味しくなるってわけです。
そうなんですね、ハンバーグはタネの食材で肉汁をコントロールできる料理でもあります。
でも今回は塊肉です。ハンバーグとはわけが違います。
さて、肉の説明をすると、塊肉は熱い状態で切るとドリップが出やすいです。
つまりある程度冷めた状態、いわゆる肉が落ち着いた状態のほうが、切っても最小限の肉汁で抑えられるのです。
アルミホイルでくるんだ7割の理由は、もちろん中心部まで火を通すってことです。
でもあとの3割の理由は、そのまま放置することで、ゆっくりゆっくり肉を冷まして落ち着かせてドリップを最小限にとどめるからです。
肉が冷めたといっても体温よりは上です。温かく食べたいなら、熱々のソースを切った肉の上からかけてやればいいんだけです。
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さて、完成しました。多少ドリップ出てますが透明です。
答え合わせの時間です。最初の第一刀が一番ドキドキします。
ちなみに、指先の感触で言うと、
「多少弾力が弱いし、もう少し温度下がるまで待った方が良いかもなあ。」
でした。
さあ!運命の第一刀!
あっはっは!パーフェクトじゃん!!
豚ヒレ肉の炙り焼き完成です!
いやあ!豚肉とは思えないほどの美味しさでした。
塩分は強めに効かせたので、単独で食べても美味しかったのですが、逆に言うと塩味は肉表面にしか効いてなかったので、手持ちのドレッシングやソースで食べると、またそれはそれで、楽しめる食べ方になりました。
この料理は豚肉をミディアムレアで食べたことが無い方には、多分衝撃的な料理になると思います。
なぜなら牛肉の赤身ステーキに、負けないくらい美味い豚肉だからです。実際に食べている途中から
「あれ?!この肉って牛肉だったっけ?!」
って感じになるほど、淡白で旨味の強い肉だからです。
豚肉の旨さが脂身にあると思っている方も多いですが、純粋な豚肉の赤身肉の旨さを再発見できる料理であることを保証します。
最後に、やっぱり豚肉をピンク色で食べるのに抵抗のある方へ、ちゃんと火を通すレシピ紹介。
豚ヒレ肉をフライパンで焼き色を付けるまでは同じですが、その後、日本酒多少入れて蓋して中心まで蒸してしまいましょう。まあイメージで言うと、その後の炙りの熱量を考えると、中心部に火が通る一歩手前で蒸す作業を完了させる感じです。
で、最後に思う存分炙りましょう。この方法なら赤身の怖さがなくなるだけでなく、ちゃんと香ばしくちゃんと家庭料理を越える料理となります。
なんていうのかなあ、結局フライパンだけで仕上げても美味しい豚料理になると思うんですけど「炙り」って要素を加えるだけで、家庭料理が一気にお店料理に変化する感じです。
フランス料理でもサラマンダーという調理器を使う店が増えてます。
こんな記事見つけました。
記事をよく読んでもらえるとわかるのですが、いっていることは上品な炙りと同じことです。
ガスバーナートーチは、調理器具として考えると決して高額なものではありません。しかし料理に使用すると、その可能性の深さに魅了されること請け合いです!
本当に2000円弱で、料理の可能性が広がります。
P.S.後日、回鍋肉を作りました。もちろんガスバーナー使用してます。
あんまり炙り感がないのは、炙りを強調したほうが美味しい料理ではないからです。それでも豆鼓味噌が多少焦げた匂いは食欲をわきたてるものです。
ガンガンにガスバーナーで炙る料理ばかり紹介してますが、この回鍋肉の様に多少炙っただけで、その仕上がりが変化する料理も多いです。
そう言う意味で、最近どんな肉料理でも、とりあえずバーナー使う事多いです。
あっはっは!なぜなら私はガスバーナー料理研究家ですから!!
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