「山と獣と肉と皮」を読んでみた

先日、こんな本を見つけて即買いしました。
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最初、女性著者の狩猟本だったので、どうかなあ・・・って思ったのですが、本の帯でやられました!!
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筆者は職業こそ「カメラマン」って特殊ですけど、日常生活は、普通の兼業主婦です。
そんな主婦が、引っ越しを機会に近所の猟師と知り合い、イノシシ肉をたびたびもらうことから狩猟に興味を持ち、
「かわいそう」と「おいしそう」の境界線を、考え続けるノンフィクションです。

いやあ!この本、視点が主婦だからこそ、異様に面白い!!
まあ、もちろん「カメラマン」って職業意識も、私のような一般人にない視点にも面白味がありました。
そしてプロとして、たとえ残酷であっても、写真として残して良いか?残すべきではないか?ってことに、悩む意識のポイントがなるほどなあと思いました。

一通りの取材の中で、筆者が興味を持ったのが皮、いわゆる皮を革にする作業です。
実はこれ、私も現在一番興味あることで、いつも現場で廃棄する毛皮を、なんとか革に出来ないか?って思うんです。
そんな自分の姿と重ね合わせながら読む感じが、本当に面白いです!!




もう一度言いますが、この本は狩猟本なのに、狩猟免許を持たない主婦が書いたという、特殊性のある視点が多くの男性猟師に突き刺さるような面白さがある本だと思われます。

始めてもらったイノシシ肉のドキドキ感!!
野生肉の固さと臭さの驚き!
生きものを殺すからこそ肉が得られるという常識を、改めて実感する感覚。
生きるために食べ、食べているものはいつか死に、死んだら誰かに食べられる現実。
都会の非常識が、山に入ると常識となる、もののけの死生観。

またこの方、写真だけでなく文章も本業の人らしくて、丁寧な表現力で非常に読みやすいです。

生きものを殺して食べるというのは、暴力がともなうものだということが、私の胸に深く刻み込まれた。そうした暴力を、怖いと思わなかったと言えば嘘になる。たとえ自分にむけられたものでなくとも、強い力は怖かった。
人間の住む世界で「悪いこと」とされていることが、山では当たり前の風景としてあった。
「暴力」と「殺す」こと。
本書一部抜粋


何て言うんでしょうか、久しぶりに狩猟本を読んで心がわき踊りました。
何て言うんだろうなあ・・・狩猟を目指し始めて、その現場に辿り着いたときのワクワクとドキドキ感がつまった本です。

久しぶりに、このブログを読んでいただいている、全ての皆さんにお勧めできる本に出会いました。


この本には料理のことも書かれているので、その件は後日。

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