ウリボウの足を解体して食べてみた

今回は料理というよりは解体のほうがメインの記事です。

私のブログでは何度も書いてますが、解体の基本は、
「筋肉を一塊の部位として考えて、腱と筋膜で切り離す」
ということです。

まあYouTubeで「イノシシ」「解体」で検索かけてもらうと、プロの作業が見られます。
でも、私みたいな素人からすると「この部位はここの骨周りを避けるようにこうやって、ああやって・・・」って覚えきれません。
別に、プロと同じでなくていいんです、例えプロからして間違っている手順であっても、結果的にほぼ正解であればそれでよいと考えます。

それでは素人の解体をご覧あれ。
先日獲れた、ウリボウの前足1本と、後ろ足1本をさばいていきます。

まずは前足です。ウリ坊なので可愛いサイズです。
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初手悩んだのですが、写真でつまんでいるすねの足先から腱を切りながら膝方向に上がっていくことにしました。
何度も言いますが、骨につながっている腱を切り、筋肉と筋肉を繋げている筋膜はナイフで剥がす感じで切り、筋肉の塊に極力刃を入れない感じで、部位ごとに切り分けていきます。
関節が見えたら、関節周囲と内部の腱と軟骨を切り、関節を外します。

ある程度、さばいた状態の写真です。中央に丸い筋肉組織があるのがわかります。
多分、1つ1つちゃんと名前がついているんでしょうが、そんなことどうでもいいです。
次の手順としては、一番大きなまん丸い筋肉をできる限り刃を入れずに切り取ることを考えてます。
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左手で引っ張っている部分の肉がありますね、その肉と真ん丸肉の境目に、力入れずにナイフを当てて剥がす感じで切り分けていきます。
その後は、次にどこを外せばきれいに丸い筋肉が取れるのか?を考えて、次にさばく位置を決めます。
その繰り返しです。

前足をさばき終わりました。
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右側が骨ですね、骨で言うと一番下が肩甲骨です。
前足をさばく時に一番問題になるのが実は肩甲骨です。これは覚えていたほうが良いです。
うちわ状になっている肩甲骨に筋肉はへばりついてます。関節周りの様に腱でつないでいるわけではないです。
それをナイフでゆっくりゆっくりこそげ落としていく感じです。で、中央に一本出っ張った部分が部分があるので、その部分を避けながらこそげ落とします。
肩甲骨回りさえさばき終えれば、前足はひざ関節も含めてそれほど大変な部位ではないです。


さて次は後ろ足です。
初手、本当に迷ったのですが、外ももの縦に白く筋膜が太く入っているライン、ここから切り分けることにしました。
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切り開いていくとこんな感じ。
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奥まで切り開くと、骨に当たった肉はこそげ切ればいいだけだし、筋膜でくっついている部分は切り剥がせばよく、関節を落とすとまた肉のつながりがわかりやすくなります。
こんな感じで切り分けました。
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後ろ足の解体で難しいのは大腿骨と膝関節ですね。
尻の部分を深く切っていくと、丸い玉みたいな関節が見えます。それが大腿骨の関節です。
その丸い関節の周囲と内部に軟骨があるので、そこを切ってやると分離できます。足を動かしながら手の感覚で、どこら辺りがつながっているのかを推理しながら、そのあたりに刃を入れていきます。
鶏の解体なら、逆関節でポキッと脱臼させてしまう部位です。
まあ自宅に足を持ち帰っている時点で大腿骨は終わっていますけどね。
で、次に膝関節ですが、前足よりは多少複雑です。でも基本的に関節はどれも同じで、横から裏から切れる範囲の軟骨や腱を切っていくと、カパッと脱臼するので、あとはつながっている部分を切ると、ナイフ1本で切り離せます。

さて、自画自賛ながら、きれいに骨と筋肉と、その他いらない部位を切り分けたと思います。

説明的に、メチャクチャ大雑把の様に思えるかもしれませんが、罠現場で獲れた時の大バラシも基本同じ考えです。
いつも皮剥ぎながら、初手の方向を悩み、切っていくうちに筋膜の感覚がわかり、1つ切り終えると、次の作業が見えてきます。
これを細かな手順と方向だけで覚えていると、初手とか二手目を度忘れすると、もう動きようがなくなります。
というか、私のバラシの感覚は丸鳥で覚えた感覚です。それがイノシシでも同じように通用することがわかりました。
やはり経験は大切です。でもイノシシの解体の経験はイノシシでないと経験積めないと考えるのは間違いです。
今回の私を方法を見てもらえるとわかりますが、解体の基本に獣も鳥も関係ありません。
私はそう考えます。

骨から外すバラシは以上です。

さて、ここから料理するために一口サイズの薄切りにしていくわけですが、最後の最後に掃除しながら切っていきます。
気がついたら、この最後の掃除作業の写真を撮り忘れていたため、文章力で伝えていきます。

基本的に筋肉にまとわりつく白い部分は、筋膜かリンパだと考えて、取り除いたほうが無難です。
でもあまりにも神経質になると、無限の作業におちいるので、適度に取れる部分を適度に取る感じで抑えます。
次に筋肉表面にある、泡っぽい粘膜っぽい部分。これを引っ張って伸びるのならば、剥がすように刃を入れます。

脂身というのは毛の生えている皮膚組織と筋肉の間にある脂のこと。
筋肉と筋肉に挟まれている白い部分は脂身ではないので、容赦なく取り除いて構いません。

そうやって塊肉を掃除したあと、薄切りで切ります。
超薄切りとか、あまりこだわりません。今回はすね肉も混ぜますが、基本的にウリボウの足です。美味しいと考えます。

ここまでが解体とか掃除とかの話でした。
次は料理です。




ウリボウをそこまで掃除して切り分けたら、あとは普通の豚肉料理と考えれば十分です。
火加減なんて関係ありません、豚肉同様に始終強火です。
味付けは塩コショウとグリルマスター、それにエリンギ入れたのでしょう油を少々入れました。
炒め油はごま油です、ウリボウと言えどジビエですから、ごま油をぶつけました。

これは正直、こんな感じのイノシシ炒め料理をすると、いつもいつも焼き上がりで焦げ目がつく瞬間に、肉全体から恐ろしいほどのドリップが出てきて、放置すると焼き料理ではなく煮物になるくらいに水分が出ます。
通常の肉料理なら、出てきたドリップは旨味として考えるのでしょうが、ジビエ肉の場合、私は臭みとしてとらえ、フライパン傾けてキッチンペーパー丸めたのをいくつも突っ込んで、出てきた水分をできるだけ処理した後、追いごま油して、最後まで焼きに徹するって感じです。

これも正直、黒猫さんとのわな猟解体の時って、その場で肉だけ持ち帰るような解体方法なんです。
つまり鮮度は抜群なのですが、死後硬直がかかってないまま冷凍された肉ともいえるわけです。
その影響なのか、冷凍方法が悪いのか、焼き上がり前に強烈にドリップ出ます。

まあ、そんなことはどうであれ、現象さえ理解しておけば、対応は可能なので、料理は作れます。

はい!ウリボウの焼き肉の完成です!!
DSC07159.JPG
いつもいつも私の料理はインスタ映えしませんが、ただ単純に映えているだけの料理なんかよりも、食べればわかる美味い奴でした!!
まあ、後ろ足付け根から、前足のスネまで、全て焼き肉素材としてぶっこみましたので、食べた瞬間にメチャクチャ柔らかい肉と、多少固く臭い肉とありましたが、その変化も含めてジビエ料理として、そして家庭料理としても、十分な合格点となりました。

いやあ!ウリ坊なら、必ずジビエ料理も美味しいと言って食べてもらえるはず!!


さて、ウリボウが獲れたときの記事の中で、私は「食べごろです」って書きました。
一般世間的に、あの可愛らしいウリボウの死体見ながら「食べごろ」って思ったことに、賛否両論あると思われます。
でも「否」と思われた方、実際の料理になった感じみてどう思われましたか?

私は経験上、現場のウリボウの死体を見ながら、この料理まで映像がつながったので、素直な意見として「食べごろ」と表現したわけです。

やっぱりウリボウは美味しいです。
これはウリボウが獲れた時だけの特権です。








この記事へのコメント

  • 黒猫

    お疲れさまでした。うり坊、まさに猟師の特権ですね!

    日本人よりもヨーロッパ各国の方が肉料理の文化が長く、進んでいますね。そして子牛とか子羊とか、独特のおいしさを追求した料理も。

    通販などにジビエを流通させる猟師は、基本的に大人の肉を販売します。薄っぺらい子供の肉って、営業効率悪いですし。

    柔らかくて臭みのないうり坊。最高ですね!
    2020年12月08日 05:47
  • morimori

    俺も黒猫さんも、小さなイノシシを全てウリボウって呼んでましたが、よくよく調べてみると、まだ赤ちゃんの段階だと、ウリのような模様がついているからウリボウなんですね。だから正確に言うとウリボウではないです。多分今年の春に生まれたイノシシです。
    で、食肉の豚ってだいたい半年で出荷されるみたいです。
    つまり、普段食べている豚肉よりも「ウリボウ」のほうが大人の肉ですね。イノシシはすべての家畜豚の原種ですから、ウリボウは流通豚肉の原点に近いジビエ肉と言えます。
    ああ、これってちゃんとまとめると1つの記事になるくらいの情報ですね。気が向いたら記事にしようかなあと。
    2020年12月08日 20:12