素材別の低温調理の設定温度について その2

さて、前回素材別の低温調理の設定温度を考察しました。
で、納得いかなくて、続きの記事です。

私自身、現在ローストビーフを作るときに、アイリスオーヤマの設定ではなく、BONIQの設定でもなく、この本の設定に従ってます。
DSC07501.JPG

この本ではローストビーフを、
58℃1時間30分と設定してます。

これがですね、30㎜牛肉のBONIQレシピだと、58℃で2時間40分です。
ずいぶん加熱時間に違いがあります。

この違いは厚生労働省の推奨時間の違いかも。
前回記事にしましたが、ちょっとした事件があった前後で、肉の加熱時間の基準が変化しました。
現在は中心温度63℃30分が基準です。
これを元に58℃を抜き出してみると、中心温度が58℃に達してから、
2時間6分31秒
さて、それ以前の基準では、中心温度が58℃に達してから、
28分
です。約1時間半ほどの違いがあります。
ただこれは「塊肉全般」の話です。

視点を変えて、前回の記事中の「解凍した肉が水温より0.5℃低くなるまでのおおよその加熱時間」を参照すると、板状の30㎜の厚さの塊肉の中心温度が、設定温度に達する時間が1時間半です。
つまり、上記の本の筆者は厚さ30㎜の牛塊肉の場合、中心温度が58℃まで到達しさえすれば、瞬時で安全だと。
ただし肉表面はしっかりと焼くことを前提において。
ここにきて、なんかわかる気がします。


低温調理器って、塊肉の中心温度をピンポイントで上げるだけの、補助的な調理道具であって、単体でメインの道具ではないと思うんです。
特に肉表面という、いろいろな汚染の可能性のある部位をそのままで安全に食べるためには、中心温度以上に表面温度に気をつかうでしょう。
しかし私は基本的に表面は全体的に焼き目をつけるので、それが殺菌行為となります。
つまり、普通なら切ってみるしかわからないような塊肉の中心温度と状態を、人工的に作り出すことができる調理器具だと思います。

低温とはいえ長時間温度を入れるという意味で、低温調理前に塩はしないほうが良いですね。どうしても不必要なドリップを生み出します。十分な塩は焼く前にするべきです。
あと、低温調理をするときに真空状態を作り出すくするために、多少オリーブ油を入れるのはありです。そしてどうせ油を入れるなら、ローズマリー等のハーブ類も一緒に入れるのは、とても相性が良いと思われます。

いつも肉表面に直接ローズマリーを入れると、低温料理後に肉に食い込んで、どうしても拭き取れなくなっていたのですが、もしかしたら多少のオリーブオイルを入れると、ローズマリー等のハーブが取り除きやすいかもしれません。それはメリットです。


なんか、勝手に想像しながら記事書いているだけで、だんだん美味しそうに思えてきました!!
これも想像ですが、以前鶏レバーを調理したのですが、
こんなやり方ではなく、コンフィにするくらい油入れて、塩コショウと大量のハーブ入れて、低温調理したら、今まで食べたことのないような鶏レバー料理が仕上がるのではないかと。


さて、まとめます。
今後私の低温調理基準温度は次の通りです。
基準30㎜で0.5㎝増えるごとに30分追加

牛ヒレ肉・鶏むね肉
58℃1時間半

豚ヒレ肉・鹿肉背ロース
63℃2時間


筋あり豚肉・筋無しイノシシ肉
65℃3時間


鹿とイノシシの肩から足
65.5℃4時間


鶏レバー等
63℃50分

まあ、こんな感じですね。
鶏レバー以外は、最終的に表面に火を通すので、思い切った低温調理ができるのですが、鶏レバーは出来上がったら、そのまま食べる感じなので、温度に妥協は許されないですね。

ようやく自分の中の指標ができました。

鍋に付きっきりで温度計を見張れば、低温調理器なんて要らないと考える方も多いと思われます。実はそれだけでは不十分なのです。低温調理器の地味な役割として、ファンによる攪拌機能があり、鍋全体を一定温度に継続的に保ちます。これを人手でやろうとすると、鍋のお湯をかき混ぜながら温度計を見張り、火加減をコントロールしなければならないということです。どうですか?ほしくなってきたでしょ、低温調理器。私はレアな赤身肉を、安全に食べたい誘惑を抑えきれずに、結局購入に至りました。

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