ファーストスターを良書で語る(生命の起源)

以前、生命についてこんな記事をアップしました。
この時は「生物学」の観点から良書をピックアップしました。
今回はもっと前の話、ビックバンから太陽系ができる話です。
その観点の良書がこれです。
DSC08207.JPG

まず宇宙の始まりがビックバンです・・・ってのが、なかなかの誤解の始まりのような気がします。
まずビックバンの前に、時間も物質もない無限の無があったんです・・・断言しましたが、これは推測の域を超えないけど、そうとしか言えない状況です。
そんな無の中の無の空間において、現在宇宙空間を構成している物質のすべてが、極小点で生まれました。
当たり前ですが爆発します、それがビックバンです。ここから時間とか空間とかという概念が発生していきます。
そうなんですよね、一般的な宇宙って、赤外線とか恒星とかの観測できる存在の範囲としてが宇宙です。
つまり現代化学で観測し予想できうる宇宙が137億年前にビックバンで始まった「有限の宇宙」であり、その入れ物となっている元々の空間は「無限の宇宙」なんです。
そのため、宇宙とは元々無限であり、ビックバンでできた見える範囲の宇宙は有限であるってのが、宇宙観の基本です。


さて、ビックバンによりとてつもない量の物質が登場したそうです。
その初期宇宙に存在した物質は「水素」「ヘリウム」そして「ダークマター」とのこと。
水素やヘリウムは聞いたことありますが、ダークマターいわゆる「暗黒物質」ってのは、宇宙論を知らない方にとっては初耳だと思います。
ダークマターとは、他の物質と化学的な反応がなく、重力によって周りの物質を引き寄せる性質のみを持った存在と定義されてます。
簡単に言うと、目に見えず、化学的反応が無いため観測できる方法も無い、理論上の物質となります。
本書によると、宇宙の成り立ちを考えるうえでダークマターが存在したほうが考えやすくなるために、1930年ほど前から提唱されてきた物質らしいです。

簡単にイメージで例えると、ビックバンは散弾銃猟師が何十人も集まって一斉に射撃した状態と言えます。
弾の広がる範囲が観測可能な宇宙空間で、散弾銃の1つ1つの弾は水素とヘリウムです。
問題はこの状態からファーストスターが出来上がることを、天文学者は証明しなければなりません。
つまり散弾銃の弾同士が宇宙空間上で寄せ集まり、密集して、重力で圧縮されて、最終的に水素爆弾のような核融合が起きなければ、太陽のような恒星は誕生しないのです。
散弾銃の弾と同じように、無限の空間に飛び散っただけの水素とヘリウムが反応するわけがありません。しかし星は確実に存在する。
そのために星を作るために考え出された物質がダークマターというわけです。

本書では、PCのパワーとともに、このジャンルの計算が確立していき、最終的にシミュレーション上でファーストスターが生まれ出たことを証明したそうです。
当たり前ですが、まだいまだに発見されていないダークマターありきの計算で。
ここら辺りが、宇宙学っぽいところですね。

似たような話として、現在の宇宙学の中で「暗黒エネルギー」ってのも、存在として必要とされているそうです。
観測上、宇宙が誕生してから70~80億年過ぎた時から、膨張加速が始まり、それが今でも続いているとのこと。
宇宙が加速膨張していることは、超新星の観測などから証明されているらしく、暗黒エネルギーというものが宇宙にあると考えないと説明が難しくなるらしいです。

で、宇宙全体の全物質を観測したところ、
通常の物質:4%
ダークマター:22%
暗黒エネルギー:74%
だったとのこと。

つまり現在、観測可能な宇宙において、
96%は謎の物質で構成されている
ということになります。

まあ、言いたいことはいろいろありますが、とりあえずこの設定で、ファーストスターが出来上がったわけです。
で、ファーストスターが寿命を迎えて超新星爆発すると、今まで水素とヘリウムだけの世界だったのが、鉄等も含まれる世界になるそうです。
ファーストスターを第1世代の恒星とすると、鉄分含んだ恒星が第2世代となり、その第2世代が超新星爆発した時に、初めて現代にもつながる様々な物質が作られたらしいです。
実際に太陽は第3世代の恒星らしく、第3世代の恒星しか惑星を作れないらしいです。

ようやく生命の起源に繋がってきましたが、惑星にしか生命は存在できません。
そして太陽系の惑星見てもわかるように、金星でも火星でも生命が存在できないように、恒星と惑星の微妙な距離関係で、生物が存在できるか?できないか?そんな感じの分かれ道になってしまいます。

で、奇跡的な場所に誕生した地球においても、最初の生物が作り上げられたのは、本当に奇跡的なことです。
前に記事にしました。「生命はなぜ生まれたのか」って本の紹介で説明してます。




はああ・・・実は個人的な意見として、私はビックバンも地球誕生も生命誕生も、もう1つ動物から人間への進化も、自然現象だけでは説明できないと思ってます。
あまりこれを言うと、論点がズレるのが嫌なんですが、私は基本的に無神論者です。
と言いながら、生命の成り立ちを追っていくと、要所要所で「カミ」の存在が無ければ、ありえないのでは?ってことがあまりにも多すぎます。

ファーストスターというか、宇宙論の話において、ダークマターも暗黒エネルギーも仮説の理論なんです。
もし、こんなものが存在しなかった場合、存在するのは4%の物質だけだった場合・・・何もかも、人類が存在することも含めて、「カミ」の気まぐれなんじゃないかと思うことが多々あります。

まあ私の話は単なる仮説でしかないですが、現代化学においても宇宙の96%の物質が観測不能の理論上のものであるってのは、なかなかの衝撃的事実ではないでしょうか。

いやあ!!やっぱり宇宙は面白い!!
年老いても、宇宙は男のロマンです。子供の時に安い望遠鏡で土星の輪を見た時に、すごく感動したことを今でも思い出します。その宇宙空間の元々の成り立ちが面白くないわけがありません!!生物・地球・宇宙は、連綿とつながる奇跡の連続です!!どこを切り取っても、化学ファンタジーとして興味が尽きないことばかりです。まあ確かに専門用語は多い本ですが、それを理解した先の世界観は、また違う興味の世界に繋がります。

この記事へのコメント