前回解体した、シカの足の骨の利用です。
いわゆるシカのフォンを作りたいと思います。
で、シカの骨をのこぎりで細かくカットしようと思ったのですが、3回切った時点で、その後の果てしない作業に私の体力が持たないことを察して、石で叩き割る方法に変えました。すいません写真無いです。
また本当ならフレンチの手法をまねて、骨をオーブンで焼きたかったのですが、我が家にはオーブンが無いので、このままフォン作りに入ります。
我が家にある一番大きな6L鍋に、割った前足と後ろ足の骨を入れて、こんな感じ。3分の1ってところですか。
次に出汁を取りながら極限まで柔らかくするために、すじ肉も加えました。
すじ肉はぶつ切りにしました。
で、全てのすじ肉も、鍋に加えました。
鍋の半分を超えました。
もう一度言いますが、6L鍋にシカの前足1本と後ろ足1本の、骨とすじ肉がすべて入ってこの量です。
すじ肉も入っているので、強烈な灰汁も見越して、最初は茹でこぼします。
まずたっぷりの水と日本酒入れて中火で沸かして灰汁出しして、強烈に灰汁がでるので、一度肉も骨もザルに出して、鍋もきれいに洗い、骨も肉も流水で灰汁を洗いながら鍋に戻します。
ここまでが下準備。
ここからがフォン作り始動!!
以前紹介した、獣系の出汁を取るためには硬水です。
で、今回も超々バカ硬水コントレックスの出番です。
中火で湧いたら灰汁をとります。ただコントレックスを使った場合、灰汁の出方が水道水とはまるで違う感じがします。
ちなみに今回は、純粋なシカの出汁を取るために、ローリエしか入れていません。
これで6時間ほど煮ました。
で、まだ出汁は色づいていませんが、すじ肉が良い感じでほろほろになったので、すじ肉と、骨に残っていた端肉も、この時点で全て回収することにします。
肉と骨をザルにあけ、熱い骨は流水で冷まし、端肉を指先でそぎ落としました。
で、いったんすじ肉類はタッパに入れて、冷蔵庫へ。
完全骨となった部分を鍋に戻し、もう一度煮込み始めます。
さて、2日目にして、ずいぶん茶色に色づきました。
ちょっと煮詰めすぎたので、鍋3分の2まで水を入れて、再度沸騰させ多少詰めて、完成としました。
これをジップロックで小分けにして冷凍します。
さて私が今回行ったのは、シカの足の骨2本を叩き割ってから茹でこぼして、硬水で2日煮込んだだけです。入れたのは小さなローリエ5枚だけ。
本当に純粋にシカのフォンです。
ただですね、出汁の味見を最初は少々塩していたのですが、それを少々のしょう油で味見することに変えてから、シカフォンって強烈に旨い事に気が付きました!!
これは新たな発見でした!!
いやあ!シカフォン旨い!!
さてさて、はるか昔に自分が書いた記事なのですが、福井県の蕎麦について記事上げてます。
この中で、関西と関東のそばつゆの違いについて、私なりの考察を述べてます。
簡単に言うと、東京の蕎麦は硬水で作られるために強めのしょう油が合い、関西の蕎麦は軟水で作られるので昆布を基本とした薄めの出汁となっているというものです。
そうなんですよね、昔々自分で硬水としょう油の相性が良いって書いていたことをすっかり忘れていました。
つまり硬水で取ったシカフォンとしょう油は、日本人の味覚においてベストマッチってことです!
もっと言うと、動物系の出汁を取るときに、日本においてその水道水の硬さの違いで、地域性が出るわけです。
昔々、TV番組ケンミンショーで、福井県の水道水を東京人に飲ませて「旨い!」って言わせる企画があったほど、福井県の水道水は旨いという定評はあります。しかし一方で、動物系の出汁を取るためには強烈に合わない軟水なんです。
欧州では昆布で出汁を取る文化が無いのは硬水だから。
関西では昆布だしが基本なのは軟水だから。
出汁を取るときに、水の硬さにこだわると、思っている以上の成果が出ると思われます。
猟師の皆さん、まあ騙されたと思って一度コントレックスで骨を煮てください。
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四つ足と鳥とまるで違うんですけど、シカとキジってもしかしたらジビエでまとめたら似ているんじゃないかと思ってます。どちらも多少赤身で食べれるのと、火を通し過ぎると、パサパサのガチガチになり、臭いまで出て、食べれたもんじゃないという、料理する側からすると難しい食材です。しかしシカもキジも硬水で出汁取れば極上の旨味を引き出せるジビエであることがわかりました。
一般的猟師からすると、シカよりもイノシシのほうが上質な獲物であると考えられています。理由としてイノシシ肉は元祖豚肉なので、単純に焼いても旨味が強い肉であるからです。そうなんですよね、猟師は獲るのが上手くても、料理するのは上手くないので、シカよりもイノシシのほうが、素人料理で旨くなる可能性が高いわけです。もっというと、イノシシの骨のフォンって、いわゆるとんこつラーメンの出汁と同じです。こういっては何ですが、とんこつ出汁って、旨いけど上品で品格のある旨さではないです。
昨年キジを料理して、今年本当に久しぶりにシカを料理して感じましたが、骨のフォンは上質な旨味が強いです。
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僕も今週すね肉を圧力鍋で調理してみます
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