まずはレシピを載せておきます。
シカの焼肉レシピ
一口大の塊に切り分ける
肉たたきで広げる
砂糖を揉み込み30分
ヨーグルトを揉み込み半日
ヨーグルトを水洗い
ごま油と市販の焼肉のタレを揉み込み30分
普通に焼いて完成
このレシピに至ったきっかけなのですが、私こんな本を持っていたことに最近気が付きました。
シカやイノシシの解体方法や、料理方法まで載っていて、かなり便利な本でした。
で、今回はシカの内もも肉を、この本を参考に調理していきます。
そして今回の料理は「ハレ」と「ケ」であるなら、「ケ」である家庭的生活料理です。
いわゆる単純に焼いてしまうと、パサついて臭みが出る鹿肉を、家庭料理的な焼肉のレベルに落とし込む戦略です。
これがうまくいけば、シカ肉料理は幅が広がります。
さて、いつものように実験料理スタート!!
まずシカの内もも肉を、一口大の塊にカット。
今見ると、厚すぎたなあ、あと半分薄く切るべきでした。
それを新アイテム「肉たたき」で平らに潰します。
これは便利ですね!!物理的に繊維を崩して柔らかくするのと、調味液が入りやすくなる効果もあります。
で、潰した肉に多少の黒砂糖を揉み込みます。冒頭のレシピには砂糖って書きましたけど、私は料理には黒砂糖しか使いません。まあ皆さんはどちらでもよいでしょう。量は適当です、とにかく肉全体に混ざる量です。
というか重要なのは、最初に肉の中に甘みを入れることです。これは次の工程の効果を高めるためと考えてます。
さて、先ほど紹介した本の中のレシピの中に、シカの内ももの唐揚げレシピが乗っているんですが、そこにはヨーグルトが肉を柔らかくする下処理として使われています。
それでピン!!ときました!ヨーグルトには乳酸菌が含まれていて、乳酸菌はまあざっくり言うと糖分から酸を作ります。その工程の化学反応で肉が柔らかくなるのであれば、ヨーグルトを揉み込む前に砂糖を揉み込んだ方が効果的ではないかと。
で、レシピ的に、
肉に砂糖を揉み込み30分
その後ヨーグルトを揉み込み半日
と考えたわけです。
で、実際には冷蔵庫の中に余っていた牛乳も多少加えてこんな感じです。
これを混ぜ込んで、半日後つまり朝仕込んで夕方にこんな感じ。正確には6時間後。
これを何度か水洗いして、多少キッチンペーパーで水切って、まずはごま油を揉み込み、その後市販の焼肉のタレを揉み込みました。
漬け込んで30分で完成。
触っている感じが、いつものシカ肉とはまるで違います!例えると、多少固めのレバー肉くらいの柔らかさ。
これは期待できそう!!
これを単純にフライパンで焼きました。そしたら思っていた通りバンバン水分出てきて、このままでは焼肉ではなく煮肉になってしまうほどです。
写真は2回ほど水分を切った状態です。
正直この水分はできる限り肉の中に閉じ込めておきたい水分です。やっぱり単純にフライパンで焼肉ってのは難しいです。仕方ありませんフライパンは弱火にして、加熱はガスバーナーで炙って火を通す作戦に切り替えました。
もうこの時点で、一般家庭料理とは言えないかもしれませんけどね。
で、切れ端を味見して、多少塩胡椒して、火を止め蓋して肉を落ち着かせました。
はい!シカ内もも焼肉の完成です!!
まあ見た目は美味そうに作ることができました。
しかしまあいやあ!!やっぱりシカ肉を一般料理にするのは難しい!!
ここまで仕込んでも、この厚みだと硬いし、パサつく一歩手前まで水分抜けてました。
それに純粋にシカ肉って旨味が薄いので、単純な塩コショウだけの焼肉では物足りないんですね。
そう考えて焼肉のタレに漬け込んだんです。
この焼肉のタレに漬け込むお手軽料理って、最近の私の好みの方法で、どんな安い肉でも漬け込んでしまえば、スーパーで売っている総菜程度の美味しさになるんです。
しかしこの方法では、このシカ肉はダメでした。
多分、肉たたきとヨーグルトで肉の中に水分がパンパンに入っていた状態で、最後にごま油と焼肉のタレに漬け込まれたわけで、それほど味が入らなかったというのが1つ。もう1つは焼いてるときに内部からバンバン水分が出て、それが表面にまとわりついていたごま油と焼肉のタレをきれいに洗い流した結果となったんじゃないかと。
ただ結果としては、思っていたよりも美味しかったんです!
それは付け合わせの効果でした。
写真左側にある野菜は「ミニホワイトセロリ」、近所のスーパーに行った時に「まだ流通の少ない珍しい野菜」ってポップがあったので、とりあえず買って試してみました。これがビンゴでした!!生食するにはかなりクセが強いのですが、シカ肉のようにクセの強い肉と合わせると、相乗効果で合います。代用するならパセリですね。
あと写真右にチラっと写っているのが、シカフォンを基本とした赤ワインソース。実はフレンチのやり方まねて作ってみたんですけど大失敗しまして・・・本当に不味かったんですよ、で方向性代えて、コンソメキューブと旭ポン酢とケチャップと・・・って色々混ぜ込んだら、美味しくなりました。で、このソースとシカ肉とミニセロリを合わせたら、思っていたよりも美味しくなりました!
やっぱりシカ肉は淡白な味なので、旨味も含めて濃厚なソースが合います。そしてジビエ臭に負けないほどの主張の強い野菜とぶつけるのも合います。
なるほどなあ・・・シカ肉にヨーグルトの下処理はありだなあ。
で、低温調理を組み合わせると・・・。
濃厚ソースかあ・・・じゃあ牛脂もくわえれば・・・。
色々と次の構想が、頭に広がります。
さてさて、今回初登場の肉たたきでした。
初めて使ってみて、なかなかの道具でした。これ使えます!!
代用で包丁の背とか金づちとかではダメですね。とげとげの突起が良い仕事してくれます。最初は荒いほうで、途中から細かいほうで叩くと、良い感じで広がって行きます。
やってみた感じで言うと、コツは一撃で潰すような力を加えるのではなく、軽い力で回数で少しずつ潰していくほうが良いです。
少しずつシカ料理の経験値が増えていく感じです。
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初めて使ってみて理解しましたが、この道具はジビエ料理や外国産の塊肉なんかには必須なんじゃないかと思われます。ただ強く叩くと肉片がばらまかれます。それがジビエ肉の場合、キッチンに飛び散りまくりの状態になるので、衛生的に良くないです。ジビエ肉はできればジップロックに入れて叩いたほうがよいでしょうね。

買ったことを忘れていたほど放置していた本でしたけど、今回シカの足をもらってから、非常にお世話になっている本です。一般的な解体方法から調理方法まで載っているので、狩猟初心者には本当にお勧めの本です。
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