昨今色々と取りざたされている「地政学」には興味がありました。
しかし入門編として、気軽に読めるような本が見つからなかったため、先延ばし伸ばしにしてきました。
しかし、こんな本を見つけました!
タイトルだけを信じると、
「中学生が読んでもわかりやすい地政学だよ!!」
ってことが売りの本だと思いまして、即購入しました。
で、読んでみると、確かに中学生でも読みやすそうな内容で物語は進んでいきます。
私がかいつまんでこの本の内容をまとめます。
主人公は進学校の高校1年生の男の子で、勉強なら誰にも負けない気がしています。
そんな主人公がとある店で古き地球儀を目にします。
何か目を引く地球儀で、それを眺めているときに中学1年生の妹に、
「その店はカイゾクの店だよ!」
って言われた時に、店から店主が出てきます。
「その地球儀に興味があるのかい?!」
その店の店主は片目に眼帯をしているため、町の人から密かに「カイゾク」と呼ばれていました。
で、カイゾクが2人に言います。
「夏休みの7日間に自分の講義を聞いて、最終日の試験に見事答えられたら、その時価の地球儀はあげるよ。」
って聞き、2人ともカイゾクの講義に夢中になっていきます。
カイゾクが若い世代に最終日の試験と課すことで、カイゾクが人生とともに培ってきた知識を伝えたいって思いが伝わってきます。
それが地球儀を中心とした地政学の講義となります。
そしてこの講義がこの本の内容のすべてと言えます。
いやあ!!なかなか面白かった!!
例えば、国としての領土って陸地だけではないってのが衝撃でした。
まあそれは私だって、空も海も日本の領土だって知ってましたけど。
ただ海の場合深さも鑑みた時に、いわゆる立体的な領土って日本は世界的にはどれくらいであるのか?ってことを知りませんでした。
答えは日本は世界第4位という大国だそうです。
現在において、輸入・輸出の大部分を海上輸送にて行っているわけですから、海を領土として抑えている国は強いというわけです。
なるほどなあ・・・日本が地政学的には大国になることを知りませんでした。
どうでしょう?だんだん地政学に興味持ってきませんか?
次に核ミサイルの話も衝撃でした。
核を持つ国は色々と存在しています。でも有事となった時には、地上施設に核ミサイルがあるのなら、先持って攻撃されてしまうでしょう。
現在人工衛星等で、各国は敵国になりそうな国の核ミサイルの保管場所は把握しているでしょうからね。
つまり核ミサイルの保管場所がわからない国だけが、世界中の国から脅威とされるわけです。
まずは自国に海溝いわゆる深い海が存在する国。
そして核ミサイル搭載可能な潜水艦を有する国。
この条件を見たしている国が現時点で、アメリカとロシアだけだそうです。
これでわかりますよね、なぜ中国が台湾を欲しがるのか?
中国は領土ではなく、領海が欲しいのです。
逆に言うと日本には、領海に深海があり、最新型の潜水艦があり、そして原子力発電所が多数あります。
つまり日本という国は、核の抑止力でアメリカとロシアに割って入るだけの地政学的有利と、最新軍備と、そして原爆を作れるだけの知識と能力と原料が存在するのです。
この本を読むまでは、日本って地球儀上の極東で小さな小さな島国で、自給率が極端に低く、小手先の技術力で世界と渡り合っている国だと思ってました。
でも、日本って地政学上では大国の部類に入り、経済力も技術力も十分な能力の国であることを、改めて知ることができました。
私は常々、核被害国であるからこそ、核保有国となり、現時点での核保有国の言い分とは全く切り口の違う話、いわゆる被害国の立場から、同等の意見を言い合える、いわゆる「力」を持つべきだと考えていました。
なるほどなあ・・・その力を持ったら、日本ってアメリカ・ロシアに次ぐ、本当の意味での軍事大国になるのかあ・・・遠い目。
私は、核と海溝の話が一番記憶に残った話でしたけど、この本にはもっともっと興味を引く情報が多いです。
例えば、陸続きの大国の苦労話とか、なぜアフリカが貧しいのか?とか、南極にはとてつもない量の天然資源があるとか。
なんか、久しぶりに知的好奇心を揺さぶられる名著でした!!
本当にお勧めの本です。
ウクライナとロシアの戦争が、日本人は全く関係ないわけではないです。ロシアが仕掛けた戦争が上手く言った場合、それを手本にして中国は台湾に戦争を仕掛けるでしょう。本文中にも書きましたが、中国は核の脅威をもっと強めたいわけですし、日本が少しでも自衛隊強化に乗り出した場合中国側は反応するわけです。なぜなら日本が核を持てばすぐにアメリカとロシアの対等な場所に立てるからです。もちろんアメリカはそれを望んでいません。望んでないけど、そういう切り札が日本にはあり、その日本をアメリカがコントロールしていることが優位になるわけです。
まあ暴論ですけど、大東亜戦争に負けてからずっとずっとアメリカの言いなりになってきた属国日本ですけど、地政学を学んだかぎり、ちゃんと力を持ったうえで、アメリカと対等な立場で友好関係を結ぶっていう、新たな時代を作ることもできるという可能性を学びました。
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