(長野猟銃立てこもり事件の新たなる考察)猟銃所持者に旱星瞬く

この事件だけは、どうしても納得がいきません。ので、いまだに情報収集しています。
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何が納得できないかというと、以前、銃を用いて殺人事件を記事をまとめました。
で、この事件、他の事件と違って、加害者は身内でも知り合いでもなく、そして事件後自殺すらしていません。
この点が、この事件だけはめちゃめちゃに異様なんですよ。だからどうも納得できない。
で、最近私は、この事件は銃を使った「通り魔事件」だったと勝手に想像して、勝手に納得するようになりました。

最近の情報です。
まずはこの記事、6ページ中の5ページ目
記事抜粋
冒頭の「信濃毎日新聞」の翌29日付紙面だ。父の正道氏が取材に応じており、そこでは、政憲容疑者が東京で一人暮らしをしていた学生時代の話として、
〈住んでいたアパート1階の部屋に入る際、青木容疑者は「ここは盗聴されているから気を付けて」と言った。聞くと、盗聴を恐れて携帯電話の電源も切っており「部屋の隅に監視カメラがある」。だが、両親からはカメラがあるようには見えなかった〉
驚いた両親は息子を実家に連れ帰り、大学も中退。〈両親は病院の受診を勧めたが、青木容疑者は「俺は正常だ」と拒否した〉

あと現役の精神科医師、和田秀樹さんの意見
大学生の頃から引きこもるようになり、それまでは明るく、社交的な性格だったのにガラっと変わったことや、今回のように悪口を言われているというような妄想をもち、それをエスカレートさせて、相手を殺してしまうようなことや、警察官の射殺にしても、殺されると思ったということで相手を撃ち殺すというパターン、そして銃で撃ったあと刺し殺すという相手を完全に亡き者にしようという手口を見る限り、我々精神科医が聞けば、統合失調症を発症したと疑ってしまう。


ここで、銃所持許可のルールをもう一度確認しますね。
まず銃所持許可が絶対にできない病気として、「統合失調症」「躁うつ病」「てんかん」があります。
ただしてんかんは「発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害がもたらされないもの及び発作が睡眠中に限り再発するものを除く」と、免除事項があります。
つまり統合失調症躁うつ病は、問答無用にダメです。
ただですねえ、統合失調症躁病に銃を持たせるのが、問答無用にダメなことはわかるんです、でもうつ病って動く元気もない人間に銃を持たしてはならない理由が、私の中でわからなかった時期がありました。
でもその疑問は初めて銃所持を申請していた時に、そんな話題の中で、警察側からポロリとでた話で納得しました。
「銃許可して、自殺されても迷惑だからさ・・・。」
なるほどなあ、だからうつ病も問答無用にダメです。

さて、長野事件の犯人の行動が、全く理解できなかったのですが、唯一犯人が、
統合失調症と仮定するなら、全て理解できます。
統合失調症なら、通り魔的な犯行も行いかねませんから。


まず統合失調症という病気を、世間的には知らない人間が多いと思われます。
昔々は差別的な対象の病気でした。まあ今でもその傾向は強いです。
SDGsは同性愛者を守っても、精神病患者は守らないのですかね?!同じように、ある種思考が狂った人間なんですけどね。
まあいいですが、統合失調症の発病は若い時期です。10代から20代って頃です。若い時の環境のストレス因子もありますけど、遺伝的要素はほとんどなく、ランダムに1%の確率で統合失調症を発病します。
一方、うつ病なのですが、うつ病って脳が疲弊しきった病気なので、脳を使って使って使い切ったような年取ってからの病気です。若くてはバリバリ働いた30代から40代、あるいは仕事をリタイアしてからの老人性うつ病って病気もあるくらいです。

さて、話を長野の犯人に戻します。
だいたいですね、「盗聴されている」って単語が出てきた時点で、基本的に統合失調症の予備軍なんです。
元々高校の時には性格的には明るかった人間が、大学に入ってから人が変わったようになった。
そして幻聴の症状もあった。
これは普通に考えれば、大学時代に統合失調症を発症したと考えるほうが理論的で科学的です。

問題は、統合失調症を発症した後に、この犯人は銃を所持したいと考えて、そして4丁もの銃を所持することに至った事実です。
絶対的案件として、警察側からすると、地元の実力者である親の存在は、強い影響力を持ったと思います。
つまり警察の身辺調査に関して、当人は無口な青年というだけで、特に問題はなかったのでしょう。

さて、犯人が本当に統合失調症の患者だった場合、それも治療を拒否続けてきた人間だった場合、その判断は・・・警察ではなく、医師となります。
いわゆる「医師の診断書」問題です。
だいたい警察って、病気等のことはわからないから医師に丸投げしている部分があり、医師の診断書という書類があれば、手続き的にはOKって流れになっています。
多分今回の事件についても、もし犯人が統合失調症だった場合、警察サイドは警察には落ち度が無く、診断書を書いた医師の責任だと考えると思われます。
それはそれで警察の言い分もごもっともなんです。
ただ医師側から、こんな記事が出てきました。
記事抜粋
わたしも、地方の精神科病院勤務のときは、猟銃使用許可を求める人に、診断書を作成した経験はあるが、かなり時間を割いて問診した記憶がある。それでも今考えれば、初回の診察だけで猟銃を持って大丈夫かどうかの判断は、できるわけがないと思う。本人が嘘を言っている可能性もあり、また家族の意思確認をしている時間的余裕も、外来診療ではほとんどない。わたしも、初回だけの診察で猟銃使用許可は、個人的には出せないと考えている。


多分、警察のプロの部分と、医師のプロの部分の境目に猟銃所持許可問題があると、私は思ってます。

警察は、犯罪者を見つけるプロです。
正直私は今まで生きてきた中で警察から職質を受けたことがないです。
しかし世の中には、普通に歩いているだけで職質を受ける人間もいます。
これはプロの目から見て、怪しいふるまいをしているか否かの問題だと思われます。
つまり警察は「こいつは犯罪者かも?!」って見抜くプロです。
逆に言うと、猟銃を持つほぼすべての人間は普段職質すら受けない普通人です。そのために身辺調査がクリアされてしまうと、警察としては打つ手が無いでしょう。

医師は病気を治すプロです。
患者は自分の調子の悪いところを医師に伝えたのち、血液検査やレントゲン等の検査結果を踏まえて、投薬等の治療行為を行います。
つまり医師とは「治療のプロ」なんです。
逆に言うと、病的に正常か?異常か?の境目を見極めるプロではないんです。
記事内で唐突にSDG’sで同性愛者の話を出しましたが、実は例えば女性として生まれたけど、考え方や生き様は男性だという悩みと治療の専門医は精神科です。
麻薬やアルコールなどの依存症患者の専門医は精神科です。
そして日頃外来で統合失調症や躁うつ病やてんかん患者を診ているのは精神科です。
で、2015年からかかりつけ医でも診断書OKとなりましたが、それまでは猟銃の診断書を一手に引き受け続けてきたのは精神科のドクターでした。

これも世間的に知らない方が多いかもしれませんが、例えば統合失調症とかうつ病とかの精神病って、実は患者の訴えとか家族の訴えからしか診断がつきません。
例えば骨折はレントゲンでわかります。
例えば高血圧は血圧計でわかります。
例えば糖尿病は尿検査でわかります。
しかし精神病って、検査値では現れないんです。
例え脳のCTやMRIを撮っても、血液検査データを細かく見ても、精神病の辛さは患者本人にしかわからないのです。
つまり精神病って、脳の伝達物質の異常なんです。
精神科での精神病患者の診察は基本的に面談のみで行われていきます。

長々と書きましたが、これでわかっていただけましたでしょうか?
例え専門家である精神科ドクターであっても、面接者当人が病状をまるで伝えていない場合、正確な診断何てつくわけが無いのです。
そのために、今回の件で万が一猟銃の診断書の基準を厳しくしたとしても、全く意味はありません。

本当に今回の事件は異様でしかありません。
銃を使った通り魔です。
通り魔的犯罪を、警察も医師も未然に防ぐことは不可能です。
そんな事例のための規制強化は全く意味なき規制です。
マスコミの意味なき規制強化論には、全く聞く耳持つ必要がありません。

日本の警察は優秀なんですよ。
そして日本の医師も優秀なんですよ。
そして世界の中でも銃所持がトップクラスに難しい日本において、銃を持っている人たちは、ある種法順守において優秀な人間なんですよ。
そこをまず議論の中心において欲しいです。

本当にこんな事件一発で、くだらぬ規制がかからぬことを望みます。

P.S.Tomy先生の本って、なんか心打ちます。SDG’sには猛反対の私ですが、ゲイの存在は認めています。この違いが判らない方はSDG’sを妄信的に人に勧めないで欲しい。そして面談のみで症状を判断していく精神科の優秀さを知らない人には「アンタたち治るわよ!」は本当にお勧めの本です。


P.S.本日、自衛隊において自動小銃による乱射事件が起きました。私が一番驚いたのは、いわゆる試用期間中の「自衛隊候補生」が実弾と実銃を扱っていたということです。まあ採用試験を突破した時点で、銃所持者のような身辺調査は終わっているのでしょうけど、それでもせめて実弾実銃だけは、自衛官となるまで待っても、遅くないんじゃないかなあっては思いました。






この記事へのコメント

  • けろあき

    おはようございます。どっちの件も驚きましたね。
    教習の申請出した次の日でしたし、どうなるかな?と思いましたが認定頂けました。聞き取りは、かなりしっかりとされたようです。
    家族が正直に話してさえいれば防げたはずの事件です。
    世間体を気にしたか、家庭内で暴れるの恐れて?
    電話1本で誰でも返納させることが可能にはなってますよね。

    私的には2件目の方が怖くてならん。
    2023年06月30日 09:41
  • morimori

    けろあきさん、お久しぶりです。
    記事で書いたように、私の中では長野の事件は腑に落ちる回答を見つけました。ただご指摘のように、自衛隊の銃乱射事件はまるで理解できません。
    入隊後の3か月の訓練は、それはそれは厳しいものだと聞きます。それは娑婆の空気感との決別とか、実戦で活かせるだけの体力づくりとか、厳しい中での仲間意識というか一体感とか、まあ色々理由はあるでしょう。
    で、犯人はその厳しい訓練を2ヶ月半、ほぼ終了までこなしてきたんですよね。しかし終了間際にただ単純に銃を撃ってみたいという衝動から逃れられなかったという心境・・・でもだからといって人を撃てるか?!いやあ!!やっぱり理解できん!!
    2023年06月30日 20:33