銃持ちて潜みて聴こふ鴨の声

猟期が始まって以来、何かと天候が荒れ続きだった福井県ですが、隙間隙間で晴れ間もある日もあって、またそんなときに私の出猟日となりました。

さて、先日解禁日に出猟しましてですね・・・猟場に2脚ポッドを置き忘れてしまいました
で、今回出猟した日はまだら雨模様の日だったので、狙える時には狙うけど、基本的に忘れ物を回収することをメインとして、猟場に向かいました。

さてさて、忘れ物をした方向に駐車している車が見えて、先客がいるのでは?!って感じで、通り過ぎて違う方向へ。
で、ここは確かにカモは多く存在するのですが、葦が強く生え、岸辺も草木が生えそろい、それもまだまだボサの勢いも強く、とてもとても回収するにはボートでもないと難しいと感じていて、いつもいつもカモウオッチングだけしてスルーする場所がありました。
車を停めた場所は、多くはないけど車の行き交いもあり、犬連れで散歩する人も見ます。
車を降りた時、15mほどの距離にマガモの群れがいました。
で、その先に葦とかボサとかの邪魔が入らないような場所にも、マガモの群れを見つけました。
「あそこなら、回収可能だな・・・。」
ただ近距離でマガモにみられているため、下手な動きをすると、それこそドミノ式に飛ばれます。
時間をかけず、銃を下ろして、カモに背を向けて歩き出しました。
そして、先ほどのカモから見えなくなったと思われた時に、100mほど回り込み、ボサに入りました。

正直、初見で先ほどの場所に上手い事射撃線がとれるとは思ってなかったので、銃を持ったロケハンの感覚で、ボサを進みました。
そしてボサの切れ間に出た時、なんとまあ先ほどの場所を見つけることができました。
ただし、そこから下りで、高いボサもなく、いわゆる丸見えになるのでこれ以上は近づけません。
この場所を射撃ポイントとしました。
で、いつも通り、ボサの隙間から見ているので、レーザー距離計が役に立ちません。
目測で50~60mと読みました。
「これなら狩猟は可能だな・・・。」
って思いながらも、一縷の不安が・・・。

私の猟場では立木が無く、地面がドロドロのところが多いので、簡易椅子と2脚ポッドを持ち込んでの狩猟スタイルに落ち着きました。
しかし2脚ポッドは回収前で、簡易椅子はロケハンの感覚だったので、車に置いてきました。
正直現在に至るまで、この必須アイテム無しで狩猟成功したことがありません。
初めてとは言わないけど、ずいぶん久しぶりに膝射で狙うことになりました。

多少準備に体を動かしたからか、スコープで確認する限りどこにもカモが見当たりません。
しかし飛ばれてもなければ、時折鳴き声も聞こえます。
そして木々の枝が濃い部分だけど、青首を見つけました。
腹をくくって、装填しました。

その後、またカモの姿が見えなくなって、約10分ほど潜んでいました。
その時、ポツ・・・ポツ・・・と雨が落ちてきました。
空を見上げると、ゆっくりと天候が崩れてきそうな雲行きです。
でも雨音のおかげか、カモの姿もチラホラと見かけるようになりました。
判断迷いました。
カモの射撃線はどれもこれも木々の枝が濃く、あたる気がしません。しかし雨が強くなるなら、装填した弾丸を捨て撃ちして撤収するしかなく、潜んでいるカモたちには飛ばれて終わりです。
出来れば確率低くても、カモを狙って撃ちたい!と考えました。

雨音の感覚が短くなり始めた時に、最初に見た場所近くにマガモの群れを見つけました。
目測50m、ただ動き続けています。
ファーストチャンスのラストチャンス、1羽の青首の動きを追いました。
スコープ左側から右側へ移動中、先回りして膝射にて狙いを定めて、胴体ど真ん中へ、
パアン!!

バタバタバタバタ!!
スコープ内で、元気に飛び立つ青首。
いつものように、静かになった猟場を双眼鏡で確認するけど、いつものように静かな水面。
さすがに無理だったかあ・・・と思いもあるけど、捨て撃ちするよりはましだったかなあと。
さてさて雨です、撤収です。


ただ、スコープ内で水柱が見えなかったので、外れたとしても半矢なら、少しは羽根が浮いているのではないか?!って思って、撃った現場の水面に近づいてみました。
「・・・なんか、あるなあ。」
よくわからなかったので、双眼鏡で確認。
「・・・ひっくり返っている、青首に見えるなあ。」

一応、回収ポイントまで近づいて、ロングたも網で回収しましたが、ずっとずっと、鳥インフルエンザ等で勝手に死んだカモかもしれない?!って疑問は抜けませんでした。
しかし、実際に回収して手に取った時、温かく柔らかく、血が流れ出ている状態を見て、ようやく初めて自分が撃って仕留めた青首だということを理解しました。
命に合掌。
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さて、いつもなら、現場で胸辺りのダウンと肛門付近の毛毟りして、腸抜きして、車に積んでいる水で内部洗って、体温冷やす作業をしてから持ち替えるのですが、雨の関係と、回収場所が土手から丸見えなので、とにかくこの場から撤収することが先だと考えました。
もっと言うと、元々忘れ物の回収がメインだったんです。
場所を移動し、2脚ポッドを回収しました。
ただ、雨脚が強まる中でも、車中に銃を置いておくわけにはいかず、銃を抱えながら速足での回収は無駄に体力を取られ、早く腸抜きしたいから、急いで帰宅の途に就きました。

はい!青首です!
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全国の諸先輩方の話を聞くと、まだオスの換羽がすんでいない地域もあるそうです。
今年の猛暑のせいでしょうか。
福井県は急激な気温変化のおかげか、きれいに青首です。
弾は胸辺りを左右に抜けてました。
多分、飛んで逃げようとした時に、出血多量で意識を無くしてそのまま死に至ったのでしょう。

今期初日もうれしかったけど、久しぶりの青首も興奮しました。
毛毟りを終え、内臓処理して、落とすところは落として、冷凍保存するところまで処理しました。
まあまだ脂なんてペラッペラだけど、マガモのオスのズシリとした久しぶりの感覚は強烈でした。
ただ、色々と積み重なった状態での毛毟りもあって、その後体力の限界でぐったりしてしまいました。

さて、砂肝だけ料理してみました。
DSC08638.JPG
銀皮外してバーナーで炙ってみました。
美味しかったけど、もっと薄くスライスしたほうが食べやすかったかなあ。
新鮮な砂肝は自己責任ながら、生で食べられる食材です。
やっぱりカモはレアっぽい料理のほうが美味い!!

あっはっは!!自己責任ですよ。


P.S.「鴨」って俳句で言うと冬の季語らしいです。カモ猟師からすると、「鴨」って単語を入れただけで、実体験に基づく俳句を量産できそうです。

この記事へのコメント

  • S410のW

    青首おめでとうございます!距離計も使えない、依託もできない状況での数々の判断素晴らしい!臨場感溢れてました。(我々にしかわかんねえ~だろうな~) 私も川でカルを撃ち損ねたと思い込み、2Km下流の猟場へ移動して次の獲物を探していたら、どんぶらこと鴨が流れて来たときには鳥インフルの死骸か思いました。一応ゴム手して確認したら後頭部に5.5mmの穴が!猟は物語ですよねえ~!
    ”筒持ちて潜みて聴こふ青の声”ぐえっ、ぐえっ 気づかれていないぞ~

    2023年11月20日 10:11
  • morimori

    S410のWさん、お久しぶりです。
    ヘタレ猟師だけど、エアライフルにおけるカモ猟の臨場感だけは、持てる文章力をすべて出し切って伝えたいと思ってます。
    ただ、いつもなら2脚ポッド委託状態でのカモ待ち時間だったのですが、今回はスコープ覗きながらの膝射カモ待ちだったので、現在支え続けた左手が、ちぎれるばかりの筋肉痛です。
    あっはっは!やっぱりヘタレ猟師です。
    2023年11月20日 21:05
  • るな

    アオクビおめでとうございます。
    僕はまだアオクビ獲れてないので羨ましい限りです!
    シッティングなどの体制でも、あまり動かない場所を作って射撃を安定させる方法は色々有ろうかと思います。また一緒に練習しましょう!
    2023年11月24日 14:05
  • morimori

    るなさん、コメントありがとうございます。
    私の猟場は、座れないほどドロドロのところが多く、それで簡易椅子と2脚ポッドを持ち込むことにしてます。
    今回は引っ付き虫対策でカッパズボンを履いていたことで、必需品無しの膝射ができました。
    まあ、射撃線を作るまでは上手く行ったので、自分で自分を褒めておこうと思います。
    2023年11月25日 17:16