鹿のスペアリブ美味酒すすむ夜や

さて、先日「今日の当番」さんのお手伝いに伺いまして、またまた鹿肉頂きました。
本当にその節はありがとうございました。

さてさて、もし一般の方がこの記事読んでいて、「ジビエ肉もらえて羨ましい!!」って単純に思われているのなら、それはチョット短絡的です。
基本的に猟師から直接おこぼれもらうときって、大バラシが終わった段階です。
例えば後ろ足1本丸ごともらうこともよくあるんですが、一般の方なら絶対に手に余りますよ。
そうなんです、足1本そのまま冷凍庫に入らないので、持ち帰った後、中バラシを行う必要があるんです。これはその日のうちに行わなくてはなりませんし、私は衛生上、中バラシはどんなに寒くても外で行います。
これは猟師なら当たり前のあるあるです。
で、例えば後ろ足もらって帰ったなら、筋膜を剥がしながらリンパ節や見た目悪い部分を切り取り、大きな部分単位に分け、徐々にシンタマとかシキンボウとかの部位を外したり、すね肉ならすね肉で外したりして、その都度個別でジップロックに入れ、マジックで日付と部位名を書いて、冷凍庫に入れていきます。
これが中バラシで、これが一般人には手に余ると思われます。
でも私は猟師です、ありがたくありがたく頂くことになりました。

さて今回久しぶりに、あばら骨いわゆるスペアリブをもらいました。
骨のついたままだと強烈にかさばる部位なので、その日のうちにバラしました。それも骨周辺肉って生のままでは取りにくいので、あばら骨を1本ずつバラバラにしてから、大きな鍋で煮て、30分ほど煮た後冷まして、肉と骨にわけました。
湯で水には塩と日本酒とローリエ入れました。
そうなんですよ、中バラシだけでも大変なのですが、あばら骨の場合、それと並行して調理過程も必須となるので余計に大変になります。
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多分一般的なスペアリブのイメージって豚肉だと思うのですが、骨付き肉をかぶりつくイメージが強いと思うんです。
でも鹿も猪も、ジビエのスペアリブって、それほど肉付きはなく、かなり骨回りのすじが硬いので、そのままかぶりついた場合、よほどあごの筋力が強くない限り噛み切れないと思います。
だから、一度茹で、肉と骨にわけてから、小さ目に切って調理したほうが食べやすいです。

で、久しぶりにシカのスペアリブを触りながら気が付いたのですが、ほぼ脂身のないシカ肉ですけど、スペアリブ辺りって、なかなか脂っぽいんです。
数度手を洗い直さなければ、ヌルつき感がとれないほど脂強く、しばらくは手から獣臭が消えませんでした。
逆に言うと、パサパサ感のイメージの強いシカ肉ですが、スペアリブ辺りは普通の肉として扱っても美味しくなるのではないかと。
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直感的に、多めのごま油を入れて、水分を飛ばした後、普通に焼いた方が美味しいんじゃないかと感じました。
入れた調味料は、
しょう油・胡椒・一味・味の素です。
焼肉のタレを使ったほうがわかりやすいかなあと思ったのですが、試食して思ってたよりも美味しかったので、塩分は塩を使わずしょう油のみで調節しました。
で、味の素は必須です。
味の素は昆布の旨味成分、いわゆる植物由来の旨味なので、動物系の旨味を邪魔しません。
試食して、イマイチ味が決まらないなあ・・・って時は、塩よりも味の素のほうが、緩やかに味が決まることのほうが多いです。

はい!シカのスペアリブ炒めの完成です!!
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いやあ!自画自賛!!
鹿のスペアリブ、旨いです!

鹿って、強烈赤身肉で、火を通し過ぎるとパサつく部位ばかりで、なかなか調理レベルが難しい食材なのですけど、スペアリブはガンガンに火を通しても美味しい部位だということを、改めて知らされました。
ただし、やっぱり骨回りの部位なので、野生臭は強いため、今回のように下処理として、香草や酒と共に下茹ですることをお勧めします。

家庭料理だと、このままカレーにしても美味しいでしょうね。
あるいは、おでんの牛すじ肉替わりでも美味しいでしょう。
いやあ!!鹿のスペアリブは旨いです!!

ただ今回の鹿は、1本角いわゆる鬼角の2歳の雄シカでした。若いシカだったから、臭みも少なく美味しかったのかもしれません。
その点は悪しからず。






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