エアライフル所持者視点で柴田哲孝著「暗殺」を語る

2022年7月8日、阿部元首相が凶弾に倒れ死亡しました。
その事件を膨大な取材の末に書かれた話題の書物が「暗殺」です。
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本当に”彼”が元総理を撃ったのか?
こんな衝撃的な文言の帯が印象的です。
書籍案内人.jpg
さて、多少ネタバレしますが、この書物には2丁のエアライフルが登場します。
1つは鋭和3B、もう1つはFXワイルドキャットMKⅢ
この時点で、エアライフル所持者は興味持ちませんか?!
エアライフルが出てくる小説何て読んだことありませんでしたから、私。

まずはFXワイルドキャットMKⅢから。
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エアライフル所持者ならご存じでしょうが、FXシリーズと言えば、超有名メーカーです。
で、上記写真のワイルドキャットMKⅢは現在日本未入荷で、似たようなプルバック式ならドリームラインという銃があります。
プルバックとは、引き金の位置の違いです。
通常なら銃身の終わり辺りに引き金があるのですが、プルバックはスコープの下辺りにあります。
私のマタドールも同じプルバックです。
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プルバックの利点としては銃全長を短くできるため、現場での取り回しが有利です。
欠点は引き金が撃鉄部より離れている機構なので、遊びが多く引き味がルーズに感じます。

暗殺の中で登場するワイルドキャットMKⅢの口径は6.35㎜、これも私のマタドールと同じ口径です。
エアライフルの弾丸的には5.5㎜が主流というか一般的なため、6.35㎜は一応大口径となります。
大口径の利点は弾が重いから威力が増すこと、欠点はエアの消費量が増えること。

ワイルドキャットMKⅢについてはこのくらいにしておきましょう。
さてさて「暗殺」の冒頭「この物語はフィクションである」からはじまります。
物語の中、「田布施博之」という人物は多分「阿部元首相」のことで、「世界合同教会」というのは多分「統一教会」のこと。
で、作中、「口径6.35㎜の鋭和3Bをポンピング10回で撃ってみた」って書かれていたんです。
だから、「鋭和3Bって多分エースハンターの言い換えだろうなあ・・・。」って思ってました。
と同時に、「あれ?!エースハンターに6.35㎜なんてあったっけ?!」っても思いました。

で、改めて調べてみることに。
そしたら!なんとまあ!鋭和3Bって銃が存在したんですよ!
そしてこの銃の歴史がなんとまあ面白くて、今回記事にまとめたわけです。

時代は1950年、日本の敗戦から5年後に朝鮮戦争がはじまりました。
その頃から、将来の韓国軍の武器独自供給も視野に入れ、「鋭和散弾銃」という空気銃を作る会社を統一教会が作りました。
1969年には鋭和BBBという空気散弾銃の発売を開始、韓国では一般市民が装薬銃を持つことは現金だったが、空気銃なら持てたため人気に。
同時に日本へも輸出開始へ、そしてこの銃の大量輸入が問題となり、法改正により「空気散弾銃」が狩猟の禁止用具に指定され、日本国内で所持売買ができなくなったとのこと。
その後、鋭和散弾銃は法改正対策として、鋭和BBBを基に、単発のエアライフル鋭和3Bを開発したとのこと。

なるほどなあ・・・統一教会って、日本の「鳥獣保護法」まで改定させるほど、空気銃がらみで深い関係があったんだなあ・・・。
ネットで調べる限り、鋭和3Bのブログ記事書かれているのは「ルース2191」さんだけですね。
記事を参考にする限り、鋭和3Bってのは競技用の銃で、ポンプ式で連射可能な銃だったそうです。
そのため20m先のスズメを落とすのがやっとの威力とのこと。

なんか感慨深いですね・・・。
阿部元首相銃撃の真相を野次馬根性で「暗殺」読んだら、まさか統一教会と私と「空気銃」ってキーワードで繋がるとは!

さてさて、「フィクション」って書いてあるのにリアリティーの話を持ち出すのは大人気ないですが、さすがに少し言わせてほしい。
一部抜粋
銃にはビクセンの34㎜チューブスコープが取り付けてあった。
スコープのレンズを覗く、倍率は4倍だ。
50メートル先のターゲットを正確に捉える。
6.35㎜のペレット弾はターゲットのほぼ中央に着弾した。

オイオイオイ!!チョット待て!!
4倍スコープで50m先の的の中心点なんか見えるか!!
9倍スコープで着弾点すら見えなかったんだぞ!!
24倍スコープで、ようやくスコープ単独で着弾点が見えるようになったんだぞ!!

まあ銃は取材しても、スコープの取材はしなかったのかなあ・・・遠い目。
まあまあ、とにかく「暗殺」はエアライフル所持者にとっても、安倍首相に思い入れがある方にとっても、非常にお勧めの著書です。








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